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著作隣接権について

著作権と「出版物に関する権利」の関係

著作権の利活用に関して

 出版者に本権利が付与された場合、著作権利活用時の関係は以下のようになると考えられます。
著者の著作権 著者の著作権の範囲
※1 著者が出版者Aと独占契約を結んでいる場合には、出版者Bは独占期間が終了(契約終了・契約変更)したのちに出版することができます。
※2 著者が自ら有する原稿を元に新たに電子出版物化を行う場合、著者自身が出版者となります。
※3 著者が原画・原稿など著作物そのものを利用する場合(自らのHP上に作品をアップするなど)は、出版行為ではないので本権利とは無関係に行えます。
※4 翻訳、映像化などの翻案、その他商品化利用に関する権利はこれまで通り著者のみが有します。ただし、出版者との間で窓口契約や委任契約を結んでいる場合には出版者が代理できます。

海賊版対策に関して

物理的な製造工程が必要となる紙の出版物の海賊版に比べ、スキャンなどによるデジタル複製およびその配信は極めて容易に行うことができます。このデジタル海賊版は出版産業に大きな被害を与えており、出版文化の健全な発展を阻害しています。

現行の著作権制度では、著者との契約により出版権をもつ出版者は紙の海賊版に対しては法的措置をとることが可能ですが、デジタル海賊版に対しては対抗できる手段がありません。

現状では著者個人が自ら法的措置に訴えるしかなく、これは著者の創作活動にも大きな負担となっています。本権利が付与されることで、出版者はデジタル海賊版に対しても著作隣接権者として法的措置をとることが可能になります。

「著作隣接権は日本国内でのみ認められる権利であり、海外の海賊版には対応できないのであまり効果がないのでは」という懸念をおもちの方もいるようです。しかし、現在蔓延するデジタル海賊版の多くは、その出どころが日本国内であり、本権利は海賊版の根源を断つために有効と言えます。また、出版者が本権利により、出版産業を担う権利者として司法や外交、行政のテーブルにつき、政府や諸外国に対して様々な要請を行えるようになることも非常に重要だと考えます。